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【インタビュー 3/3】ホワイトレーベルスペース袴田代表 ―GLXP以後の展望―

Image credit: astropreneur.net

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2015年末までの月面探査のため、チーム間の連携などが活発化しており、よりスピードアップしているGoogle Lunar X-PRIZE(以下GLXPそんな中、日本代表のホワイトレーベルスペース(以下WLS)は1月、新体制の発表をした。

そこでアストロプレナー編集部では新体制の変更点や、今後の活動の展望等について、じっくりお話を伺ってきた。新体制発足 今後のGLXPについて GLXP以後の展望 全三回に分け、掲載していく。

赤が聞き手の石亀、黒が袴田代表。

 

仮にGLXPで成功したら、どのような意義があると思いますか?

 

 

まずこのGLXPのプロジェクトを成功させることで利益をあげることは考えていないです。このプロジェクトでは「実行すること」が重要だと考えています。宇宙産業にとっては、こんな普通の、これまで宇宙産業に関わって来なかった人がやって実現できてしまうことにインパクトがあると思っています。

 

 

宇宙開発に対する意識的なハードルを下げるということでしょうか?

 

 

そうですね。このプロジェクトが成功すると2つのインパクトがあると思っています。

 

一つは既存の宇宙産業に対するインパクトです。自分としては宇宙産業っていうのは参入障壁を高く保つことで、ムラ社会ができていると考えています。技術的な参入障壁はそれほど高くなく実際はローテクで成り立っています。

だから案外できてしまう。まずはそういうことを見せていくことが重要なのかなと思っています。

今の宇宙産業の問題の1つはニーズがないということだと思うのですが、そもそもニーズを考えているのが宇宙ムラの人ばかり。

そうすると自分たちの考えの範囲でしかニーズが出てこないわけで規模はなかなか大きくなっていかない。

このプロジェクトの成功に触発された普通の人達が「じゃあ自分たちは何をしよう」と思い、はじめてたくさんニーズが出てくる。その中のいくつかが本当にあるニーズで、それで大きな仕事が出てくるかもしれない。

 

もう一つは社会的なインパクトです。日本はまだ「失われた20年」をひきずっていてなかなか上向きにならない。日本がこういう世界の舞台で、若い人達が中心になってインパクトのあることを成し遂げる。そのことにより日本人が自信を取り戻し、世界で活躍するきっかけになってほしい。もう日本の中だけで考えていけるのは限られた産業だけです。ほとんどのものは世界の視点で考えないと立ちゆかなくなっていく。そういうふうに見られる人材が増えるきっかけになると嬉しいですね。

 

 

GLXP以後のWLSJの展望に関してお話頂けますか?

 

 

我々としてはGLXPは1つのステップでしかないと考えています。ここに集まってきているメンバーの多くはその次の世界を見ています。我々は究極的に人間は他の星に移り住んでいくと思っています。海で生まれて、陸に上がり、大陸を転々とし、ついに宇宙に行く。多分人間の、生命の遺伝子っていうのはそうなっているのではないでしょうか。

 

GLXPを通じて、自分たちは宇宙で使える小型のモビリティが強みになってきます。人が移り住む前にどこが住みやすいかという探査をする時にこのロボットを活用できないかと考えています。

NASAの火星探査機キュリオシティは1トンくらいですが、そこまで大きいと活動範囲が限られてしまって、狙ったところでは重要な発見ができる反面、どこに何があるかという探索型には向いていません。それよりも小型ロボットを100機くらいばらまいた方がいいだろうと思っています。

 

 

他のことは考えていますか?もう少し手前のこととか。

 

 

これでもかなり手前のことなんですけれど(笑)火星移住を2022年にやると言っているマーズワンもあれば、デニス・チトーなんかは2018年に火星に行くと言っていますし。中国が動けばアメリカは黙っていないので、月面開発もすぐ来ると思っています。

 

 

イメージとしては他の星などに施設を建設する前段階の調査業務を受託する感じでしょうか。

 

 

そうですね。あとは資源探査とか。宇宙のエンタメとかも考えています。うまくいけば近いうちに何か発表できると思います。

 

 

最後に何か付け加えたいことがあればお願いします。「YOU、WLSJ来ちゃいなよ」的な話でも結構です(笑)

 

 

これはメッセージっぽい感じになりますが、今宇宙って大きな岐路に立っていると自分たちは見ています。1つの時代が終わり、次の時代が来る。今までは国家による宇宙開発がメインでした。それが民間による宇宙開発に移りつつある。

その背景としてはアメリカでは国家予算が頭打ちになっていき、予算の一部を民間に振り分ける方向にシフトしている。NASAとしては火星有人探査などもっと遠くをやっていき、地球近傍は戦略的に民間に任せていく。その中でスペースXを筆頭に、アメリカでは色々な会社が出てき始めています。最初はITで事業が成功した若手が宇宙に投資をし始めているんです。

NASAとシリコンバレーのお金がそういう動き方をしている。海外では大きなそういう転換点が来ています。日本もその流れに遅れるとえらいことになる。自分たちはその流れで唯一やっているので、応援してください(笑)一緒に何かやりましょう。そういう新しい世界を一緒に作っていきましょう。

 

 

インタビュー日:2013 3/4 インタビュアー:石亀一郎

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