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【インタビュー 2/2】株式会社ispaceの目指す月面探査チームHAKUTOの「いま」と宇宙開発の「これから」

Image credit : astroprenuer

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②ispace社の目指す宇宙開発の「これから」

 

―次に、袴田さんの考える株式会社ispaceの今後の方向性について教えてください。

 

まず、HAKUTOという1つのプロジェクトをispace社が運営をするいう形で、株式会社ispaceを設立しました。ispace社としてはハクトだけではなく、きちんと事業化をしていこうと考えています。色々な状況を踏まえると、今はちょうど宇宙ベンチャーを立ち上げるには最高にいい時期であると考えています。

 

―今がいい時期であると考える背景には何がありますか?

 

外部環境を考えると、ベンチャーキャピタル(VC)的にも世の中的にも比較的お金が余ってきています。そういったVCの方々は投資先を探しているので、多くの会社で投資が受けやすい環境に変わりつつあります。加えて、海外では新しい宇宙ビジネスがどんどん立ち上がってきていることから、前例がたくさん出来始めているので、安心して投資しやすくなってきているのです。宇宙ビジネスブームの芽が出始めているということなりますね。

さらに、今年1、2年はそのブームもあって宇宙が大変活気づくのではないかと言われています。あるメディアでは2014年の10大ブームの中に宇宙が入っていたりと、宇宙がより一層注目を浴びて、投資を受けやすくなってくると考えられるわけです。

あとこれらの背景として、金融ビッグバンならぬ「宇宙ビジネスビックグバン」が起こっていると僕は言っています。

 

―宇宙ビジネスビッグバンとはどういったものでしょうか?

 

簡単に説明すると、今まで官主導だった宇宙開発が民主導に変わってきており、それによって民間による参入障壁が比較的下がってきました。そこには大きな市場期待があって、新しい人材が投入されてきています。例えば、金融ビッグバンは規制緩和により民間に市場が開放され、投資コストがどんどん下がってきたことで大いに発展してきました。まさしく同じ構造になってきていると考えられます。

まずは、アメリカ政府はもう地球の周りの宇宙開発をやらずに、民間からサービスを買い取って行っていくという方向性を発表しています。そのコスト低下として代表される民間企業はspaceXであり、再利用のロケットができれば今の1/100程度もの打ち上げコストを削減できることになります。彼らの開発のスピードも驚くほど速いので、あと1,2年でやってしまうのではないかと。

打ち上げ費以外にも、衛星などの宇宙機器も民生品を使うことでコストがどんどん下がってきていたり、ITを取り入れることによって運用費もものすごく下がっています。例えば、打ち上げの際の管制室をイメージすると100人くらい並んでいるのを想像できると思うのですが、イプシロンロケットはPCがたった2台で管制しているわけですこれらの背景を踏まえると数年後には今の1/100の世界が実現してきます。

 

―ここ数年で大きく変わったわけですね。

 

普通の人に“宇宙”だというと、「夢ですね」「すごいですね」と言われてしまうのですが、実は誰でもできてしまうことを理解していない人たちが多い。これを一足先に理解した人たちが突っ走れば大きなビジネスチャンスがあると考えています。

最近は宇宙関係者以外の人たちが参入してきていますが、これまでは宇宙村のある一定層の人たちしか集まっていませんでした。その彼らが産業化だ、といってもビジネスをあまりわかっておらず、アイデアが出ても実行力がないようなエンジニアばかりなので面白くない。 対して、宇宙以外の他産業で成功してきた人たちは、過去に成功したお金やノウハウを持ち込んできているので、ビジネスに成功する可能性が高くなるなるでしょう。

さらに重要になのは、ベンチャーキャピタル(VC)がお金を出し始めてきたことです。ビジネスとして回せることがきちんと説明できないとお金を出してもらえないので、彼らにきちんと説明できるような経営者が増えてきていることがわかります。

 

―今ispace社としてはどのような段階だと言えますか?

 

最近ハクトのプロジェクトだけでなく、宇宙ビジネスに興味がある、サポートしたい、という人たちが出てきてくれています。

具体的には、色々ネタを持ち合わせているので、どこにフォーカスを当てて事業化していこうかという組み立てをしているところです。一つの方向性として考えているのは、我々の技術的な強みである宇宙×ロボットです。個人的にはスターウォーズの世界がやはり見てみたい(笑)

 

―ispace社ではどのようなビジョンで活動していきますか?

 

”人類生存のために多様な生きる選択肢を提供します”ということを掲げています。

これは将来、必ずや人類は宇宙に進出していくだろうと考えると、宇宙においても生存できるということは最終的に人類や地球を守ることに繋がると信じているからです。

今地球上では人類がどんどん増加しており、この生態系のままで維持するにはもう限界が来ているだろうと言われています。すると、一部の人たちは地球外へ出ていくという選択肢を取ると思うので、もちろん地球を守る努力はしなければならないが、宇宙に行くという手段を取ってしまうことは逆に人間を滅ぼしてしまうことになるのではないかと思います。

これはイーロン・マスクに近い発想ですが、将来人類は必ず宇宙に出る。彼にはまずは輸送手段であるロケットに成功してもらいたい。しかし、輸送手段があっても人は外に出ていかない。住むところがなければ施設を作ってでも、北極に住むことができるわけですよね。でも誰も住もうとしないのは、そこが魅力的でないからなのです。

いきなり人間が宇宙に行ってもできない作業も多くあるので、我々はロボティクスを通してまず魅力的な場所を作っていきたいと思っています。

 

―袴田さんの考える「魅力的」とはどのようなものなのでしょうか?

 

私が「魅力的」だと考えるものは、私はその土地に経済圏をつくること、つまりお金が回って豊かになることです。

北極圏に住もうと思えば住めるけど、豊かになれないので誰も行こうとはしない。環境が厳しいということもあるが、モジュールを作れば住めるわけであって、豊かになれるかが重要になってくる。

わたしは一番の根本は文明だと思っています。それはビジネス的には経済といった方がわかりやすいでしょう。行きたいと思ってもらえる目的地を作る。アートが好きな人はアートが目的かもしれないし、たぶん多くの人が行くには経済が魅力的と考えるのではないかと。

 

―具体的にはどのような事業を展開していくのでしょうか?

 

我々はロボティクスを通して経済圏をつくっていくために何ができるかというのを模索していて、長期的に考えると、プラネタリーリソーシーズの取り組もうとしているような月や小惑星の資源開発を目指していきます。

片道切符の火星移住計画をしているマーズワンでも、最初の人を輸送させる前に2018年にずロボティクスのミッションが計画されています。最初の人間の活動できる領域がとても限られているはずなので、人間が行くとしてもまずロボットを送る必要があると思います。ロボットというのは、人間が行く前も行った後も必ず重要になってくるでしょう。

 

―これらの事業をハクトのプロジェクトと並行して実行していくということも考えていますか?

 

並行して大きなプロジェクトとしてやるかどうかはまだ議論中なのですが、すぐに事業化するとしたら、今開発しているロボティクスを地上で警備とか設備保全などに転用し、外で使っていくことですね。

 

―宇宙ベンチャーispaceとして、今後どのように成長していこうと考えていますか?

 

最近、自分でispaceのことをスタートアップと言い始めました。

その意味は分かると思いますが、ただの中小企業で終わりたいとは思っていないので、やはり急成長するベンチャーにしていこうと思っています。見ているところはスカイボックス・イメージングや先ほども挙げたようにプラネタリーリソーシーズあたりですかね。

日本における宇宙開発はB2Bが基本ですので、国からは三菱重工やIHIなどの大手にしか流れておらず、彼らは下請けに流してはいますが、源流は政府です。なので、宇宙ベンチャーがその流れに割って入っていけるような隙は、今の日本にはないのではないかと思っています。方向性としては宇宙旅行のようにB2Cでやっていくという手もあります。

けれども我々がやろうとしていることは資源開発なので、どちらかというとB2Bです。大手メジャーなどのような企業や他産業の企業と提携できるようなビジネスにしたいと思っています。

 

―大変貴重なお話ありがとうございました。最後に何かあれば一言よろしくお願いします。

 

ハクトとしては、まずは必ず月面にローバーを飛ばします。相乗りはするにせよ、優勝を狙っていきます。それには十分な自信があります。あとはお金がもう少し必要です。

ispaceの事業化に関しても、とてもイイ流れになってきているのでこれを生かして我々がガツンと一発やっていきたいと思っています。

宇宙産業に優秀な人材を集めていきたい!できれば他産業からもっと多く来てほしいですね。

 

 

(編集後記)

優しく穏やかな口調の中に随所見られる力強く自信に満ち溢れた袴田さんの言葉から、宇宙開発に対する想いを感じることが出来て、こちらまで同様な気持ちが漲ってくる。そんな大変貴重なインタビューをさせていただきました。

 

月への挑戦を目指すハクトは、ハクトサポーターズクラブ(β)のメンバーを募集しています。宇宙を目指すワクワクと感動を皆と一緒に楽しみながら応援しましょう。

サポーターの皆様から集まった資金は、入会特別プレゼントや特別イベントへのご招待などの特典で還元して頂けるということですので、応援して楽しめる宇宙開発を一緒に作っていけたらと思っています。

http://team-hakuto.jp/hsc/

 

 

インタビュー日:2014/4/2 山崎貴大

 

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