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宇宙ビジネスセミナー第一回 『加速する宇宙商業化』リポート

Image credit: astropreneur.net

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5/11、nomad new’s baseにてastropreneur.net主催で第一回宇宙ビジネスセミナーを行いました。 

ゲストはSpace Frontier Foundationの大貫美鈴様。アメリカの宇宙ビジネスの最新情報を整理して頂きました。

また当日は雨にも関わらず、多数の方に参加していただき、盛会となりました。

 

当日参加できなかった方のためにセミナーの内容をライターの矢本様にまとめて頂きましたので、記事としてアップします。

 

 

■宇宙ビジネスって胡散臭い?

 

宇宙ビジネスと聞いて、皆さんはどんなことを連想されるでしょうか?

なんとなく胡散臭い?というのが正直な感想かもしれませんね。

それは、まだまだ日本では、宇宙ビジネスについての情報が少ないからでしょう。

 

アストロプレナー(宇宙×起業家)をテーマにした第一回宇宙ビジネスセミナーでは、

【加速する宇宙商業化】と題して、宇宙ビジネスコンサルタント 大貫美鈴さんに

商業宇宙最先進国である米国の民間宇宙開発の最新情報についてお話を伺いました。

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大貫美鈴さん(写真はXCOR社の宇宙旅客機リンクスのキャビンにて)

大貫さんは、清水建設(株)で、宇宙ホテルや宇宙旅行、宇宙での衣食住遊に

携わってきた、いわば宇宙ビジネスのプロ。その後JAXAを経て、

現在、商業宇宙利用を推進しているスペースアクセス(株)の代表でもあります。

 

大貫さん自身も美しい女性なのですが、プレゼンテーションのタイトルには

宇宙旅行申込者であるサラ・ブライトマンさんの写真が。日本だと岩城滉一さん。

著名人が宇宙旅行をするという話題は、最も効果的な宇宙商業化の宣伝ですね。

宇宙旅行時代はすぐそこまで来ているんだなと、私たちをわくわくさせます。

 

 

■低地球軌道(Low Earth Orbit,LEO)が、今、熱い!!

 

国際的な定義において、宇宙とは100kmから上空のこと。

宇宙では軌道のことをオービタル、準軌道のことをサブオービタルと呼ぶのですが、

今日の話の商業化というのは、主に低地球軌道(LEO)の宇宙輸送についての話です。

サブオービタル機が飛ぶ100kmを越えた辺りから、宇宙ステーションや民間宇宙機が

飛んでいる高度350kmから600kmを含む、1400kmくらいまでがLEOです。

何十年も前から、通信やGPSなどの大型衛星の商業化というのは進んでいますが、

この10年余り、LEOの宇宙輸送とそれを利用した宇宙産業が劇的に進化しているんですね。

 

そもそも米国の宇宙開発予算は、約1.7兆円。日本の約10倍あるんだそう。

ちなみに世界中の政府が持っている宇宙予算の総額の70%を米国が占めています。

さらに言うと、NASAの予算はそのうちの30%。残りは軍事の宇宙開発予算など。

だから米国でも国の予算にすべては頼れず、商業化が急務だったんですね。

 

米国が宇宙商業化の最先端である背景には、スペースシャトルリタイア後の

宇宙輸送機開発において、民間企業の参入に門戸を開いたということが大きいみたい。

NASAの支援と民間の資金により開発され、すでに物資の輸送が始まっているのが

20チーム以上から選ばれた、SpaceX社とオービタルサイエンス社の商業宇宙貨物船。

 

では、人の輸送は?現在はロシアのソユーズが独占しているんですって。

ロシアの宇宙観光枠を利用して、すでに7人の民間人が宇宙旅行を実現していますが、

スペースシャトルが引退を表明した後は、宇宙飛行士の輸送で手一杯らしいです。

冒頭のサラ・ブライトマンさんが宇宙へ行けるのは、

2015年以降、新型ソユーズが開発されてからということになるんですね。

 

米国も着々と、オバマ大統領が予算を設けて有人宇宙技術の開発に乗り出し、

多数の競合の中から、現在、シエラネバダ、SpaceX、ボーイングの3社が開発中。

 

さて、物資や人の行き先ですが、これからは宇宙ホテルの時代がやってくるんですね。

この分野では、米国だけでなく欧州も負けていないのです。そう遠くない将来、

宇宙にも豪華リゾートホテルがオープンしそうだなんて、なんだか夢のようですね。

 

 

■宇宙旅行の時代もすぐそこ!

 

実際には、オービタル(軌道)飛行による宇宙観光の費用は、20~40億円という

途方もない金額で、一般庶民にはあまり現実味のない話ですよね。

 

宇宙には、高度100km辺りまで飛んで帰ってくるサブオービタル飛行もあるんです。

まるでジェットコースター?高信頼性、低コストなど手軽なのが特徴で、保険も整備、

実験や観測、教育などさまざまなビジネス展開が進められているんですって。

 

サブオービタルによる有人宇宙旅行も着々と準備がされ、まさに秒読み段階なんです。

ヴァージンギャラクティック社のスペースシップ2というのはよく目にする機体。

岩城滉一さんが乗るのは、XCOR社のリンクスという2人乗りの輸送機で、

全面窓のフロントシートから素晴しい景観が望めるのだとか。羨ましいですね!

 

 

■米国の宇宙ビジネスの発展に学びたい

 

こんなに発展を続ける宇宙ビジネスが、日本で普及しないネックは、

投資に関する考え方とやはり法律の整備が遅れていることに尽きるんでしょうね。

LEOの商業化には、投資家が投資しやすいよう法律の整備が最低条件となるから。

 

米国では、1984年の商業打ち上げ法施行以来、どんどん法律が整備されました。

サブオービタルの商業化はXプライズ財団が設立されたところから始まっていますが、

2001年、デニス・チトーが民間人として初めて宇宙旅行を実現し、さらに保険が

付くようになったことで、投資家の目を宇宙ビジネスへと向けさせたようです。

こうして投資額が増え、開発が進んだんですね。2001年は宇宙旅行元年なのです。

 

サブオービタルで、民間主導による新しい宇宙プラットフォームの開発が進むと、

NASAも支援を始めます。こうして、宇宙利用市場が拡大されていったんですね。

オービタルでも、NASAの発注方式から飛行サービス購入への転換が行われ、

資金投入、競争原理が導入され、宇宙投資が促進されているわけです。

適切な国家の投資+民間企業の革新+政策と計画が、民間企業の成功+革新

+国家安全保障へと繋がっていく。これが米国政府の宇宙商業化推進なんですね。

 

■どんな宇宙ビジネスがあるのか、興味津々!

 

スペースアクセス(低軌道の宇宙輸送)の急速な商業化によりチャンスは無限大に。

では、実際どんな面白い宇宙ビジネスベンチャーが存在するのでしょう?

 

ナノラックス社では、カセット方式の無重力装置で宇宙実験を請け負ってくれます。

フライトサービス社は、長屋形式で小型衛星を飛ばしてくれるというサービスを。

他にも、宇宙旅行代理店、宇宙服レンタル、宇宙葬、宇宙燃料ステーション、

小型衛星や宇宙ゴミの回収など、ビジネスは多彩にあるんですね。新鮮です!

面白いところでは、メイドインスペース社の宇宙3Dプリンターなんていうものも。

ゆくゆくは、太陽光発電や資源確保など宇宙でのエネルギー産業も発展しそうです。

 

地球上で行われていることは、宇宙でも全てビジネスになるということですよね。

そう考えると、日本でも、民間の活力や資金をどんどん投入するべきだと思います。

今後、日本人ならではのきめ細やかな宇宙ビジネスが生み出されるのではないかしら、

いろいろ夢が広がる、そして日本を鼓舞したくなる、興味深いお話を伺えました。

 

 

 

リポーター:矢本祥子(Shoko Yamoto)

フリーランス編集者/ライター

エンタテインメント系とインタビューの仕事が多い。

旅、散歩、写真、空の観察、文楽、日本酒、農作業…

好きなものはたくさんある。一眼レフを練習中。

空の観察って、宇宙を観ているってことなんですね。

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