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宇宙ビジネスセミナー第二回『月面探査レースGoogle Lunar X-PRIZEと、その先の宇宙開発について』リポート

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Image credit: astropreneur.net

■月の上での賞金レース!?

 

月面探査レースGoogle Lunar X-PRIZE(以下GLXP)って知っていますか?

米国のXプライズ財団(X Prize Foundation)とGoogleが開催している

民間による“月面無人探査”を競う賞金レースのことで

優勝賞金は、最初に達成したチームに2000万ドル(約20億円)。

特別賞も合わせれば賞金総額3000万ドルという史上最大のコンペティションです。

 

アストロプレナー(宇宙×起業家)をテーマにした第二回宇宙ビジネスセミナーで

お話を伺ったのは、この賞金レースに唯一日本から参加している

ハクト(旧ホワイトレーベルスペース)代表の袴田武史さん。

優しい顔立ち、穏やかな語り口からはちょっと想像がつかないのですが、

お話を聞いていると、胸の奥には沸々と秘めた情熱が燃えている方のようですよ。

 

 

■具体的に、レースはどうやって進められていくの?

 

レースに定められているミッションは

2015年12月31日までに以下の3つをクリアすること。

 

  • ・月面に無人探査機を着陸
  • ・着陸地点から500m走行
  • ・ハイビジョンの画像、動画を地球に送信

 

参加者は、月面を移動するローバー(探査車)とローバーを乗せて月面に降りる

ランダー(着陸船)を開発し、さらにそれらを月まで打ち上げるロケットも

自前で用意。打ち上げ費用も莫大なので、相乗りが現実的みたいですね。

 

当初、世界中から30チーム以上が名乗りを上げていたのが、今は23チームまで

淘汰されていて。費用もかかるし、相当困難なプロジェクトなのでしょう。

当初は日欧混合チームだったのが、ランダー開発を担当していた欧州チームが

撤退し、ハクト(旧WhiteLabelSpace)は日本単独のチームとなったのだそうです。

 

特にアメリカの数社が有力のようだけれど、東北大学の吉田和哉教授を中心に

ハクトが開発中の2輪ローバーも、かなりいい線までいっている模様。

打ち上げ費は重量に比例するため、苦心を重ね、4輪から限りなく軽く小さく

開発してきたこのローバーのデモ機を、現在、伊豆大島や阿蘇など

地球上の様々な地形で走らせデータを積み上げ、性能を上げていく作業

相乗り相手との交渉という、打ち上げへの具体的な準備が進められているようです。

 

 

■『スターウォーズ』との出会いが、宇宙を目指すきっかけ

 

ハクトには、技術者だけでなく、様々なバックグラウンドを持った人たちが

集まっています。代表の袴田さんを始め、ビジネスマンも多い。

知的好奇心から夢が広がり、それをいかにビジネスとして成り立たせていくか、

お金を集めるノウハウ、ビジネスセンスを持っている人間が音頭を取ることで

宇宙開発という夢が具体的な現実へと歩み始めているんですね。

 

袴田さんの今までの歩みも興味深い。そもそも、宇宙に興味を持ったきっかけは

子供の頃観た映画『スターウォーズ』。こんな格好いい宇宙船が飛び交う世界を

早く見たいという気持ちが、彼をここまで突き動かしてきたとも言えるのかな。

 

当初、私大の機械工学科へ入った彼は、ここでだらだらテニスや合コンをしていても

先がないな。やはり航空宇宙工学科を目指そう!と決意して、受験をし直したのだそう。

その意志の固さと情熱の強さ、未来を予測しての行動が、今のハクトプロジェクトに

つながっているんだと、素直に感動しちゃいました。

 

さらに宇宙船を設計するための勉強をするには海外へ行くしかない。苦手?!な英語を

頑張り、留学して次世代航空宇宙システムの概念設計手法において修士号を取得。

その後は日本で、コスト戦略を専門とする経営コンサルティングの会社に入ります。

宇宙開発にはめちゃくちゃお金がかかるのですが、日本には、技術者はたくさんいても、

資金調達のできる人間は皆無だった。だったら自分が、と思ったのですって。

 

その後、欧州で立ち上がったハクトでローバーを開発する話が吉田教授の元に来て、

日本での資金調達に袴田さんも加わることになったのが経緯だそうです。

航空宇宙工学とコンサルという二足のわらじを履くことで、宇宙船を作るという

子供の頃からの夢の実現へ一歩ずつ近づいているのですね。ここが面白いと思います。

 

袴田さんのさらにスゴいところは、所属するコンサルティング会社に、週のうち数日を

ハクトのために割かせてくれとお願いし、働き方までも自分の理想の形にしたところ。

その分収入は減りましたけれど、とさらっと笑っている姿が清々しくもあり…。

 

余談ですが、結果的にチームを離れたアンドリュー・バートンが、今、Xプライズ財団で

活躍していて、ツーカーで話せる人を主催者内部に持てたというラッキーも!

普通のビジネスシーンにおいても、こういう人脈はとても大事ですよね。

 

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